結果郵送日の翌日。
朝一で、昨日チェックしておいた2つの認証保育園のうち、一つ目に電話してみた。
小さいが家からは最も近いS園だ。
このころの私はもうだんだん知らない場所への電話も気にならなくなってきていた。
「はい、S園です。」
「こんにちは、お忙しいところ申し訳ありません、お聞きしたいことがあるのですが、そちらの保育園は1歳児の4月からの枠は空いておりますでしょうか?」
「‥‥大変申し訳ございません、当園は先月から小は規模保育事業という、認可保育園になりまして‥‥ ホームページはまだ変えていなかったのですが、申し込みは市を通しての受付になりました。」
ええっここも?!
電話を終えて、ガックリきた。
Y園と同じだ。先月から認証保育園ではなくなっている。
なんで?
まぁでも考えていてもしょうがない。
それならば残る一つの認証保育園に賭けよう。
最後の候補の保育園はI園。
保育料は高いが、認証保育園なので、私の勤務状況の場合、20,000円まで補助金が出る。
まだ新しいI園は、ホームページも分かりやすく、給食は完全無農薬、ライブカメラまでついているとのこと。値段が高いだけの理由はある。
「はい、I園です。」
「お忙しいところ‥‥以下略。」
「4月からでしたら、ご案内できると思います。 ただ本日はは園長が不在のため、こちらから明日お電話いたします。」
えっ!!!!本当に!?枠が空いているんだ、やったー!!!
明日、お電話お願いします!いつでも大丈夫ですので!!!
ここ数か月、重苦しい日々だったが、ようやく、ほんとうに久しぶりに笑顔になった。
これで職場復帰できる!
その日はゆったり過ごすことができた・・・
しかし。
あっという間に、また困難にぶち当たるなんて知る由もなかった。。
再び、暗雲・・・
次の日の朝、私は何気なく、昨日電話したI園のホームページのブログ欄を見ていた。
すると昨日の閉園後の時間で更新があり、このような内容が記されていた。
只今、4月からの入園希望の問い合わせが殺到しております。
人数には限りがありますので、これから見学、問い合わせされる方より厳選させていただきたいと思います。
大変申し訳ありませんが1月末までにお問い合わせいただいた方で締め切らせていただきます。
ああーまたか。また保育園の壁が立ちふさがった。
一度安心しただけに、高いところから落とされたような感覚になった。
その日の昼前になると、約束どおりI園から電話があった。
「いつもなら定員割れするくらいであったのに、今年はこんなに連絡があり、園側も困惑している。
本来1歳児は3名の枠だが、既に14名の申し込みがあった、園としても枠を増やして対応したいです」
とのこと。
とりあえず面談の予約をして電話を切った。
事態は決して良くはないが、このI園の対応には感動した。
枠が埋まった時点で全て断ってしまえば簡単なのに・・・きっとスタッフで話し合ったのだろう。
困っている母親を少しでも助けるにはどうすればいいか。
私の状況では面談したところで上位に行けるとは思わないし、人に訴える喋りをするのは苦手だ。
でもせっかくのチャンスなのだから、頑張ってみよう。
上手く話せるように、その日は自分の頭の中で考えをまとめていた。
独自の面談
2月某日、私は長男と一緒にI園に来ていた。
今日はここで、面談を受ける。
倍率は何倍なのだろう、分からないが4~5倍はあるようだ。
この園は家のような造りで、保育室はそれほど広くはないが、おしゃれな感じだった。
ひととおり説明を受けた後に、面談を行った。
面談は、本当に保育園を必要としている人を見極めるためか、この園にたどり着いた経緯から、会社のこと、家族のこと、両親のことまで全て聞かれた。
でも話せば話すほど、他の人より、職場復帰しなくとも、なんとかなりそう感が出てきてしまう。
私の勤め先は距離的に3キロ程度と近く、土日休み、パート。
夫の帰りも早めで今流行のワンオペでもない。
家族全員すこぶる健康。
更に近くには義両親が住んでおり、60代半ばにして、二人とも既に退職しており、生活にも余裕のある状態で、日々暇を持て余している・・・
保育士さんがいうには、面談した方の中には、夫が鬱で働けない人や、復帰できないと退職せねばならない人もいるとのこと。
私がパートであるのはどうしようもない。
ここに来たのは結婚してから。正社員になれる条件は満たしていなかった。
でも育休からの退職なんて、絶対できない。
勤め先は夫と同じ、私がそんな辞め方をすれば、確実に夫にも迷惑がかかる。
どれか一つでも嘘をついたら良かったのか?
後でフッとそういう思いも出たが、実際は本当のことを話した。
ちなみに、面談に来た方の中には、私と同じような経緯をたどった人もいるとのこと。
結局問い合わせが殺到したのは、近隣の2か所が認可外から認可へ変更し、そこに入るつもりの人たちが殺到したのが大きいようだ。
全て面談を終え、結果はどうであれ、役所の失礼な態度と違い、真剣に向き合って話を聞いてくれたことにお礼を言い、家に帰った。
希望は月決めの通常保育、それがだめなら一時保育枠で行う保育も予約してきた。
正直望みは薄いが、あとは、返事を待つだけだった。
心の重い日々
選考の結果は数日かかると言われとにかく待っていた。
生きた心地がしない、というと大袈裟ではあるが・・・
会社に、もしだめだった時の相談をしたり、代替案がないか調べまくってみたりで、本当に心の重い状態だった。
正直長男と楽しく過ごした記憶もない。
無邪気な長男の顔を見る度に、
ああ、私って今、この子と離れるために必死になっているようなもんだよな。こんなにいろんな手段を使って、離れようとしているんだよな。
子供が今の状況を理解していたら、とても悲しいだろうな。
そんなに僕と離れたいの?って思うだろうな。
そんな思いでいっぱいになって、やるせない気持ちになった。
撃沈。
選考から一週間ほど経って、やっと連絡があった。
でも電話口からもうすでに残念感が漂っていた。
「今回定期保育のご案内をすることができませんでした。 一時保育のほうも同じく‥‥大変申し訳ありません。」
とりあえずダメ元で、一時保育のほうだけでもキャンセル待ちをしてみることだけ伝えて、電話を終えた。
残るは、ファミリーサポート(通称ファミサポ)に仕事の日預けるくらいしか手段が残っていなかった。
だが仕事中全部預けようとすると単純計算で16万はかかる。
全く現実的ではない。
正直、正社員でも給料が9割方飛んでいく金額だ。
とりあえず、今できることは・・・まずは職場に連絡しよう。
早生まれの長男は今、育休の延長の手続きをしてもらっている状態なので、7月頃までは待つことができる。会社もそこまで待ってくれるとのこと。
これで万策、尽きた。
でもこれ以上の選択肢がないくらいにできる限りのことをやった。
区役所に何度も問い合わせの電話をした、窓口の相談も何回も行った。
自分にできるのはあとは待つことだけだ。
待ちながら今までやってきたことを継続しよう。
ふっきれた、というわけでもないが、結果はダメだったのに、その日はなぜか晴れ晴れした気持ちだった。
続く・・・
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